1 論文になりました。
2 膀胱瘤の人は頻尿が多い
3 過活動膀胱って何?
4 膀胱瘤の手術の最新は?
5 膀胱瘤の手術で、過活動膀胱はなおるの?
6 膀胱瘤 と 過活動膀胱 その生活のヒントは?
第5章 膀胱瘤の手術で、過活動膀胱はなおるの?
さて、一番しりたいところの『膀胱瘤の手術で、過活動膀胱はなおるの?』という疑問です。この膀胱瘤の手術の中でもとくに、メッシュをもちいた手術で、過活動膀胱がなおるかどうか?それは、いままで、2008年現在のところ、世界中で、だれも、国際論文(英語の論文のことです)で、発表していなかったのです。
そこで、まず、骨盤底の構造と膀胱瘤の関係をみてみましょう

正常の骨盤底は、このマンガのように、骨盤の一番したで、膀胱や子宮や直腸をささえる膜として存在します。ハンモックをイメージすればよいのです。
しかし、若いうちは、しなやかに動くことができた骨盤底も、年をかさねるとしなやかさがなくなり、カチカチになったり、ゆるゆるになったりします。

すると、このゆるみによりさまざまな症状がでてくるわけです。
たとえば、今回のケースのももこさんは、最初尿失禁がありました。

この症状は、骨盤底のうち、尿道のまわりがゆるんだことから生じたのです。

この絵のように、尿道のまわりだけです。このような状態を、医学用語では、尿道過可動または内尿道括約筋不全をゆうした腹圧性尿失禁といいます。
さて、ゆるみは、だんだんぜんたいにひろがりました。このために、股間に違和感をかんじるようになったのです。


このような感じで、ゆるんできたので、膀胱がおちてしまい膀胱瘤となったのです。
では頻尿はどうしておこるのか?
それは、この膀胱瘤が刺激になるからです。

すると、膀胱が正常な位置にもどれば、頻尿が改善する可能性がでてきます。
尿意切迫感も、頻尿も改善できれば、過活動膀胱を改善したことになりますね。
そこで、思い出して下さい。過活動膀胱の質問票です。

日本発のこの質問票を、基本にして、膀胱瘤の人にたいして、手術をした場合に、この合計点数が改善するかどうか調べてみました。すると、改善する傾向があることが証明できたのです。ただ、国際論文ですから、日本にはないような質問票なども多数使用して、どんな質問票でも改善することを証明したのは、苦労しました。
したがって、膀胱瘤が原因になっている過活動膀胱なら、手術により改善する可能性があることがはじめて証明できました。
もちろん、このような証明をするには、手術の精度をあげていく必要があります。年間100件から200件以上で、どのメッシュ手術も出血量50ml以下でできることが前提条件です。この点は、学会からも厳しく、僕の手術技術について吟味されました。
TVM手術

今回の論文は、この絵の手術に集中限定しておこないました。もちろん、いままで重要視されてきたメッシュをもちいない手術も改善することは、他の医師から論文がでております。

抗コリン薬は必要ないでしょうか?
では、つぎの疑問です。膀胱瘤と過活動膀胱の両方がある人に、抗コリン薬は必要ないでしょうか?
こたえは、ひとによります。でも、多くは、手術だけで、頻尿などは改善します。しかし、夜間頻尿などは、なかなか改善しません。その点では、夜間の頻尿をおさえる対策として、おくすり、体操、風呂など、さまざまなことがかんがえられます。
抗コリン薬について、ちょっとおさらいします。

排尿をするときに、膀胱を収縮させます。この収縮させる信号は、“アセチルコリン”という物質が神経の末端から出ることによって、脳から脊髄を通過して、膀胱の神経に伝えられます。そこで、過活動膀胱では、この収縮の信号がおおすぎると考えるのです。このアセチルコリンのはたらきを弱めることで、膀胱の異常な収縮を抑えるのが抗コリン薬です。通常、
飲み始めてから1週間〜1ヵ月で効果が現れます。 治療開始後は、残尿量を検査しながら、薬の量を調節します。抗コリン薬の副作用には、口の中の渇き、便秘などがあります。