自費診療 (腹圧性尿失禁)



(イラスト:FOTONA

腹圧性尿失禁の治療は、現在、保険適応があるのは、TOTスリング手術とTVTスリング手術です。当院では、どちらの手術もおこなっており、2015年は、保険適応の腹圧性尿失禁手術が50件前後です。骨盤臓器脱全体は、約500件です。およそ、10分の1が腹圧性尿失禁手術です。尿失禁そのものは、骨盤臓器脱の患者の80%が経験はあります。しかし、そのほとんどは、混合性尿失禁を呈します。

この腹圧性尿失禁手術は、尿道がぐらぐら揺らぐことに対して、固定するメッシュテープを挿入することになります。しかし、腹圧性尿失禁には、もうひとつ尿道のまわりの筋肉がよわくなったケースもあります。医学用語では、尿道がぐらぐら揺れることを『尿道過動』と、尿道のまわりの筋肉が弱くなることを『内尿道括約筋不全』といいます。

尿道過可動だけでしたら、TOTやTVT手術でしっかりなおります。これはテープを挿入する手術なのですが、尿道過可動と内尿道括約筋不全の二つとも認められる尿道は、テープ挿入だけではなおりません。内尿道括約筋不全の場合は、テープの挿入が困難なケースが多々あります。

TVT手術では治らない人、TVT手術のテープを挿入する余裕のない人、こうした人は、いままで、骨盤底筋体操をしっかり努力して訓練することで、筋肉を育てるしか方法はありませんでした。

そこで、当院では、自費になりますが、海外で行われているレーザーによる治療を開始しました。このレーザーは、インティマレーザーというもので、外科では普通に使われるものです。海外では、膣からレーザーを当てることで、尿道のまわりの筋肉を育てることが可能です。このことで、まずは尿道過可動に効果的です。さらに、内尿道括約筋不全にも期待できるのです。これを、Uタイトニングといいます。


このレーザー照射により、粘膜にあたらしい細胞がうまれてきます
これが、膣を引き締めることになります

(従来のレーザーの場合)


インティマレーザーの場合は、さらに強力にレーザーがとどきます。



これは、膣の細胞の増殖につよい刺激になるわけです。



このインティマレーザーは、膣のすみずみまで照射することができます





レーザーの照射道具は4種類



レーザーの照射道具は4種類用意しております




膀胱から尿道までを照射するハンドピースです
腹圧性尿失禁の場合は、尿道と膀胱の付け根を重点的にします
膀胱全体の場合は、膣前壁を全体的にします





膣全体を照射するハンドピースです
骨盤臓器脱とくに子宮下垂の下垂感がでてきているひと
膣弛緩とくに下垂感がでている人につかいます




腹圧性尿失禁の場合に、尿道周囲に弱い場所がありますので、その部分を重点的に行います




尿道の中から挿入して、尿道と膀胱の境界にある尿道括約筋に直接照射します



そのほかに、肛門から直接照射する方法もあり、それは便のトラブルに対しておこないます


どのハンドピースをどのように使うかは
病状できめます。
医師に判断をさせてください
診察して、弱いところを、重点的に照射します



学会発表





当院は、いままで、保険診療のみで活動をしてきました。
このため、腹圧性尿失禁手術であるTVT,TOTのデータがあります
このデータとレーザー光線治療のデータを比較したものです

グラフ一番上のYAGというのがレーザー光線治療
次が、TVT、一番下がTOTです

どらも、尿失禁がかなり減少することがわかります。
それぞれのメリットとリスクを表にしてみます

 手術方法  保険・自費  良い点  悪い点
 レーザー光線治療  自費 混合性尿失禁であっても治療効果が期待できる
術後の治療困難な副作用がない
2から4年すると元にもどるので、次に新しい技術の治療をうけることができる
 短い人で2年、ながく持たせれば4年でもとに戻る。
 TVT挿入手術  保険  永久的に固定できる  軽微な尿失禁には技術的に手術できない
混合性尿失禁の場合に悪化する
永久的な感染症が起きるリスクがある
妊娠希望の人にはできない
永久固定なので、痛みや感染があっても、摘出手術することができない
異物挿入なので、多くの国で注意勧告がでている
 TOT挿入手術  保険  永久的に固定できる  軽微な尿失禁には技術的に手術できない
(TVTよりは、軽微な人に対応)
混合性尿失禁の場合に悪化する
永久的な感染症が起きるリスクがある
妊娠希望の人にはできない
永久固定なので、痛みや感染があっても、摘出手術することができない
異物挿入なので、多くの国で注意勧告がでている






当院から様々な学会で研究成果を報告しております


2018年に実施される”アジア泌尿器科医学会”では、当院から特別講演をだすことになりました。



当院の研究内容は、

1) 腹圧性尿失禁
2) 混合性尿失禁
3) 切迫性尿失禁
4) 過活動膀胱
でのレーザー光線治療の効果についてです

そのほか
2017年 米国レーザー医学会(サンヂエゴ)
2017年 日本抗加齢医療学会
2018年 英国産婦人科学会
などでの学会発表を予定しております


また効果は、アメリカ合衆国で承認があり、さらに、以下の医学雑誌にて報告論文がされています


では、自費のレーザーによる腹圧性尿失禁手術と、保険適応のTOT手術について表にまとめてみます。あくまで、当院の出した見解です。


 治療方法   レーザー治療(Uタイトニング)   TOT手術
 基本的な理論  YAGレーザーにより膣全体および尿道の周囲の組織が活性化して、コラーゲンなどが増える。このことで、筋肉がしっかりと尿道をささえて、腹圧性尿失禁がおきないようにする。  人工物であるポリプロピレンメッシュが尿道をささえることで、尿道のぐらつきをおさえる。
 効果 腹圧性尿失禁が改善 腹圧性尿失禁が改善
 良い点  人工物でなく、自分自身の体で支える  人工テープが強靭に尿道をささえる。
 欠点  2から3年経過すると、また筋肉が弱ってくるので、もう一度レーザーを当てる必要がある  人工物が一生ささえるが、感染などの問題が後年起きてくることもある。妊娠希望者はすすめない。
 費用  自費手術である。


10万円+税

当院では、高齢者が多いので、65歳以上は割引します

1回あたり、10万円+税
 照射時間は、米国の標準よりも長くたっぷりです。
 当院で過去に手術を受けた人は、優先予約します

 保険適応にて、当院の日帰り手術の場合は、3割負担の人は6万円ほど。保険上の総額は、手術代と点滴などを含めて25万円ほどです。
ただし、ひがえり手術は神奈川県在住の方を想定して行っているので、東北・中部・関西などの遠方の方はホテルに滞在されるひともいる。
 安静にする期間  およそ3日間(安静といっても、膣を安静にするだけです。日常生活、仕事、自転車はOKです)  およそ7日間から10日間
 年齢の制限  なし あり。妊娠の可能性のある人や高齢者は、メッシュのトラブル症例が過去あり。適応は限られる




術後の安静とは、
レーザーにより、膣から分泌物が増えます。尿失禁と勘違いしないでください。
増える期間は、およそ、3日から10日です。多くは、3日です
血がすこしでる人もいます
このとき、レーザーにより膣は新陳代謝がおこり、あたらしい細胞に置き換わります
そして、1か月になると、尿失禁が格段によくなります。
この3日から10日の間は、膣を安静にします
具体的には、セックスは禁止。タンポンを挿入も禁止。オシュレットは、そのトイレのオシュレットがばい菌のいない大変きれいなものならいですが、ふつうは禁止。湯船は、そのお風呂を徹底的にきれいにできればいいのですが、そこまではできませんから、この間シャワーにしてください。陰部は、シャワーできれいにすると効果的でしょう。


何回するといいのか?
1年間で3回ぐらいすると、1、2年から3年ぐらい尿失禁のない状態で維持できます。
この間に、すこしずつ再生したコラーゲンなどが減ってくるので、またおこなうことになります
このことで、安全に治療できるといえます。
2018年からは、あたらしい機種になり、2回の実施程度でよくなると考えております。


どんな人がするといいのか?
たとえば、まだ挙児を希望されている人、この人の場合は、テープを挿入する手術をすると、その人工物が出産に影響を与えます。しかし、レーザーなら、数年で吸収されてしまうほど、安全で自然です。レーザーで、しばらく様子をみて、子供たちが小学生になったら、テープの手術ということもできます

たとえば、尿失禁がある尿道過可動であるが、膣全体が萎縮性膣炎の人。この場合は、女性ホルモンを補充すると尿失禁がかなり改善するのですが、女性ホルモンは長期につかえば乳がんになります。萎縮性膣炎があると、TOTテープを挿入することが難しく、テープが露出したりします。しかし、レーザーなら安全というわけです。

腹圧性尿失禁をもつ乳がん経験者の場合。これは大変重要です。女性ホルモンがつかえないのです。それに、乳がんの治療により、膣の粘膜が萎縮しています。そこで、テープの挿入が困難です。


フォトナ社によるイメージビデオ



このユーチューブは、レーザー機器の製造会社フォトナ社によるものです。





レーザーにより尿道のまわりの筋肉がつよくなり、尿道の固定力が増すということ。



このレーザーは組織の活性化を促すために、美容皮膚科で用いられる安全性の高いものである


世界初:尿道から温めることで尿失禁をなおす(自費)

フォトナ社の最新型尿失禁治療機器
尿道から直接弱った尿道へレーザー光線をあてて温める治療です。体にやさしく、妊娠希望の若い女性から高齢の方まで手術可能です。
レーザー光線治療は、10分程度の短時間では効果がないと考えます。しっかり20分ぐらいするべきです。
 
   



レーザー光線治療をうけるタイミング



月経がある人は、レーザー光線治療のタイミングがとりやすいです



統計的に、月経終了後3から5日がベストです。
受診に際して、月経周期を調べてきてください

また、月経が不整担ってきた人は、
性ホルモンを微量(低用量ホルモン補充)にて調節します
低用量補充の場合は、あまりに少ないので、乳がんのリスクはほとんどありません


インティマ・レーザー治療器 フォトナ・スムースの紹介


このレーザー機器は、YAGレーザーというもので、ほかの分野の手術に用いられています。
レーザーの波長を自由にコントロールすることができるため、病状にあわせた設定が可能です。



尿失禁レーザーの適応は、軽度と中程度の腹圧性尿失禁と、切迫性尿失禁もあわせもつ混合性尿失禁の2つのタイプに適応できます。

 尿失禁のタイプ  腹圧性尿失禁(軽度と中程度)  腹圧性尿失禁(重度)  混合性尿失禁
 症状  咳やくしゃみで尿がもれる。漏れる量は、1回で30gのパッドぐらい。たとえば、1日あたり3から4枚程度まで  咳、くしゃみどころか、歩く・階段をのぼる程度でも尿がもれる。100gのパッドにもれる  咳・くしゃみの時に尿がもれる腹圧性尿失禁。これに加えて、冷えたり、水仕事をすると、急に尿意を感じて尿がもれる切迫性尿失禁もある。
 保険適応の治療方法  軽度の場合は、骨盤底筋体操
中等度は、TOTテープ挿入手術
 TOTテープ挿入、または、TVTテープ挿入  過活動膀胱の薬
(TOTテープのような人工テープで尿道を補強すると、かえって切迫性尿失禁が悪化することあり)
 レーザーによる治療  レーザーによる治療がよい適応になる。  レーザーによる治療よりも、TOTテープ挿入をすすめる  TOTテープを挿入できないので、レーザーによる治療の適応になる


フォトナ社による研究報告:臨床結果

臨床試験(ライブラリ]タブを参照)からの科学的な結果は、軽度および中程度の腹圧性尿失禁のための優れた改善を示します。

  • 患者の約70%が120日後に尿失禁が改善しています。
  • 120日にて、全患者の68%は、尿失禁の症状が改善したとしています。
  • すべての尿失禁のアンケートにより改善が認めらました
  • 有害事象(後遺症)は、研究のいずれにおいても確認しませんでした。

麻酔は、麻酔クリームでおこないます。痛みはごく軽度です。






学会発表:混合性尿失禁には、レーザーが圧倒的によい


 従来のメッシュ・テープをもちいた手術方法との比較を2016年のアメリカレーザー医学会に報告しましたが、その時に多くのドクターからの質問は、混合性尿失禁についてです。
混合性尿失禁は、咳・くしゃみで尿がもれる腹圧性尿失禁と、急にトイレにいきたくて尿がもれる切迫性尿失禁が、同時に存在することです。

具体的に説明をしますと、
〇 咳をしたら尿がもれた ⇒ 腹圧性尿失禁
〇 階段をのぼったら尿がもれた ⇒ 腹圧性尿失禁
〇 大声でわらったら尿がもれた ⇒ 腹圧性尿失禁
● 水道で冷たい水をさわったら、急に尿を感じた ⇒ 切迫性尿失禁
● プールでひえたら尿を感じた ⇒ 切迫性尿失禁
● 街をあるいて急に尿を感じた ⇒ 切迫性尿失禁

このしろまる〇 と くろまる● のひとつずつ該当したら混合性尿失禁です



これは、2018年のアジア泌尿器科医学会に、特別講演として招聘されている発表です。
アジア泌尿器科医学会には、海外からの推薦で講演が決定しました
この研究では、メッシュ・テープをつかうTVTとTOT手術では、混合性尿失禁が悪化することがわかります
以前より、悪化することは知られています
比較すると、レーザー治療は混合性尿失禁には大変有効であるとわかります。

人工物のメッシュをいれると締め付けられて尿道の血管のながれは著しくわるくなります
しかし、レーザー治療では、尿道の血管の流れがよくなるので、尿失禁がなおるというものですから、
効果がでてくるわけです。




乳がん患者の尿失禁には、レーザーの効果を期待


 従来のメッシュ・テープをもちいた手術方法では、乳がんの患者の尿失禁は危険な可能性があります。
その理由は、乳がんの治療には、ホルモン治療といいまして、女性ホルモンを低くするようにします。
すると、尿道のまわりの血流がわるくなり、尿失禁が悪化します。
そこに、人工テープを挿入すると、血管を圧迫しますので、たいへんよくないのです

乳がん患者でなければ、女性ホルモン補充という方法もあります
しかし、そうゆうわけにはいきません。女性ホルモンを補充すると乳がんが再発します
そこで、レーザー治療が効果があるのではと期待しております
現在、データをあつめて、効果をみるという研究をしております





妊娠希望者にはレーザーの効果を期待


 従来のメッシュによる尿失禁の治療は、感染症の問題があるので、出産にむきません。
なぜなら妊娠中に感染がおこると、胎児に悪影響があるからです。

そこで、レーザー治療が有効であると考えます。
しかしタイミングが重要です


時期  妊娠中  出産直後 受精前から妊娠中  最終の出産直後
 レーザー治療  不可  可能  不可  可能
 メッシュ手術  不可  不可  不可  可能


レーザー治療は、出産直後から2回月経をしていれば効果的に実施可能です
次のお子さんを希望している場合は、メッシュ手術はできません

次のお子さんの受精および妊娠中はレーザー治療はできません
もちろん、メッシュ手術はできません

最後のお子さんを出産して、今後出産の予定がない場合は、
レーザー治療も、メッシュによる尿失禁手術(TVT、TOT)も受けることが可能です




レーザー治療になるか、TVT手術になるかの違い



レーザー治療になるか、TVT手術になるかは、診察してみるとわかることが多いです
外来では、診察の結果にふまえて、社会的状況(たとえば、妊娠を希望しているとか)をあわせて判断に使います。

おおまかには、このように選んでいます
ただし、あくまで私のクリニックでの場合であり、医師により考え方は異なります

(A) 尿道括約筋の一部が弱い場合

このケースでは、膣から指をいれて触ると、すっと抜ける感じがします。その具合で、だいたいどこが損傷しているかわかります。難しいときは、ドップラーエコーを用いますが、用いなくてもわかることが多いです。

(A-1) この尿道括約筋の一部の損傷が、左右ともある場合 ⇒ TVT手術が最適だろうと思います

(A-2) この尿道括約筋の一部の損傷が、右だけなど片側の場合 ⇒ レーザー治療が最適だろうとおもいます。健常な括約筋を切らないとTVTが挿入できないので、それはもったいないからです。今は、TVT手術はポリプロピレン材質なのですが、10年後はもっといい人工テープがでるかもしれないからです。


(B) 尿道括約筋のほかに、膀胱と尿道の間の骨盤隔膜が損傷しているとき


この場合は、片側であろうと、両側であろうと、TVT手術が最適であると思います。
今回の手術で尿失禁をなおし、残存している骨盤底筋を育てるようにしたほうが、ずっと人生によいからです



(C) 尿道括約筋の損傷がかるくて、尿道と膀胱の間の骨盤隔膜に損傷がある場合



このケースでは、レーザー治療は効果を出します。
範囲がひろいけど、それぞれの損傷の具合が小さいので、なおしやすいのです





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