演題名:

難治性膀胱膣瘻における骨盤力学の仮説の提案( “問診”と“ダブルファイバーシステム”による術前検索に対して、“キネマティックCT”と“OsiriX-iPAD 3Dボリュームレンダリング”による術前検索):(1)膀胱膣瘻(2)正常女性および(3)膀胱瘤

 

斉藤恵介1 奥井伸雄12 常盤紫野1 奥井真知子2 永榮美香 1 堀江重郎1

1)帝京大学泌尿器科教室 2)医)Uro-Gyn.net よこすか女性泌尿器科

 

一般抄録本文:

背景

膀胱膣瘻は、原因が明らではない。近年アフリカ等発展途上国での増加は、出産時の感染や低栄養などが原因として提唱されている。対して我が国等の先進国では、子宮摘出術などの侵襲に加え感染・疎血などの様々な原因のために発生するだろうとされているが、詳しく研究されたことはない。国内での多くの手術では、いまだに、瘻孔の縫い合わせや瘻孔周囲の膀胱部分切除がくりかえし行われることがある。それでは治癒しない多くの症例が存在する。

 我々は、原因として手術侵襲に注目し、骨盤内に異常なテンションが生まれること、つまり、骨盤力学の仮説を提案してきた。手術においては、膀胱部分切除をすると余計にテンションがかかるので瘻孔が再発しやすくなり、むしろ異常なテンションを取り除くことに専念すると治癒できるという考えである。異常なテンションには、当グループでは、医療法人ウロギネ・ネットに構築したダブルファイバーシステム(膀胱ファイバースコープと膣ファイバースコープの同時施行)と問診手術歴から骨盤内の異常テンションについて検討し、帝京大学にて手術を実施してきた。CTやMRIでは骨盤内の異常なテンションはわかりにくかった。今研究は、さらに3D立体画像と動的変化を得るキネマティックCTを利用することで、より骨盤内の異常なテンションが存在する症例を、より簡便に確認できるようにしたい。そのことで、膀胱膣瘻に骨盤内力学の仮説の重要性を示したいと考えた。

 

対象と方法

膀胱造影CTDICOM画像をOsiriXにて3Dボリュームレンダリング処理。骨盤腱弓と膀胱周囲の筋膜の関係に着目して、その存在位置や動き方の把握をすすめ、手術歴とダブルファイバーシステムから得られたの骨盤内癒着の情報と比較した。

今回の発表では、正常女性および膀胱瘤に対するOsiriX-3Dボリュームレンダリングを比較対照にして3D動画による映像比較を行うことを検討している。また、キネマティックCTにて、呼吸による変動との関係も調べる。なお、今回の発表では、参考段階であるものの、内視鏡を使わないで内視鏡の映像を得ることができる仮想内視鏡による膀胱膣ろうの観察結果も紹介する。

 

結果

ある症例について注目をしてみたところ、既往歴では、膀胱の左側において子宮摘出の手術が困難をきわめ、そのために、左側の癒着をまねいているだろうと想像できた。膀胱ファイバースコープと膣ファイバースコープの同時施行においても、膀胱粘膜と膣粘膜は、左へ異常なテンションがかかり、そして、膀胱膣ろうは、右側に存在していた。しかし、CTやMRIでは、膀胱膣ろうは、膀胱の正中にあるように見える。キネマティックCTでは、呼吸変動による膀胱の動きがみえるが、やはり膀胱膣ろうが膀胱の正中にあるようにおもわれた。対して、OsiriX-3Dボリームレンダリング処理をすることで、骨盤内において膀胱が右へ偏移しており、膀胱膣ろうも右側に開口していることがわかる。つまり、子宮摘出の手術で膀胱の左側への異常なテンションが生じ、そのために、もっとも血流がわるくなりやすい右側に膀胱膣ろうが生じたと理解できた。

この3D画像検討により『膀胱膣瘻に対しての骨盤力学』の意義が示すことができると考える。

 

 

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