ウロとは、ウロロジー(泌尿器科)のこと、
ギネとは、ギネコロジー(婦人科)のこと
そして、私たちは、
いままでの概念で見過ごしてきた
医学の谷間へ挑戦していきます。

日本医師会 平成22年度シンポジウムから

  • ●今回は、国民皆保険50周年〜その未来に向けて というテーマで行われました
  • ●読売新聞東京本社 田中秀一氏の講演内容など、大変興味深いものが多かったので、その内容から、我々現場で働く医師としてできることを、考えていきたいとおもいます。なお、当日のスライドやビデオは、日本医師会のホームページから自由に閲覧することがゆるされています。ご興味のある方は、こちら⇒ に、そのアドレスをリンクしておきます。講演された方の意図がまちがってつたわるといけないので、できればこのリンクから一度講演をご覧になることをおすすめします。
  • ●今回日本医師会の講演を紹介して、その内容にたいして、私たち現場としての目標などを考えてみることで、このシンポジウムの内容を、医師として活かすことが目的です

医療危機を乗り越えるための”現場での努力”について



【医療法人ウロ-ギネ・ネットから】 はじめに、この講演会の中で、読売新聞東京本社の田中さんの講演を聞くのははじめてですが、この方は『医療ルネッサンス』で丁寧な取材をすすめている方です。私は面識がありますが、たいへん丁寧な対応をさせるといい印象をうけています。そのこととは、別に、医療に対して、田中さんが、発表した内容を、冷静に現場の立場から考えてみたいとおもいます。まず、医療をめぐる問題として、5つの項目をとりあげています。このうえで、今回の講演では、『医療提供体制について』の話に重点がありました。そして、それは、現場へ働く医師への応援でもあるようにも思えました。



【医療法人ウロ-ギネ・ネットから】 
■日本版フィジシャン・アシスタントは、法律をかえるまでもなく、医師の視点をかえると、沢山人材がいる。
講演では、医療介護年金をふくむ諸問題が取り上げられていますが、私たちは、上記のように、自分たちなりの解答をかんがえております。まず、医師不足ですが、これに関しては、いくら医科大学を増設しても、この10年間のたすけにはなりません。そこで、医師を助けるフィジシャン・アシスタント(PA)の育成を講演でも取り上げられていますが、この制度をくる法律にまた時間がかかります。そこで、有力なのが介護士・栄養士など他職にクリニックに勤務していただくことです。たとえば、点滴の針をさしたり、抜いたりは、一般の人にはできません。でも、おむつを交換したり、体温をはかったり、悩みをきいてあげて手を握るのは、資格など必要ありません。いわゆる『病院のおばちゃん』という立場です。もちろん、私のクリニックの場合は、おねえさんです。彼女たちは、心根のやさしい人です。人のことを自分のことのように聞くことができます。そして、それはしばしば、医師や看護師では聞き出せないような、本音を聞き出すこともあります。医師が視点をかえるべきです。視点をかえ、利用できる人材は、なんでも利用する。そして、法律をよく勉強し、出来る範囲をかんがえていくこと。これが重要です。

■救急搬送先は、病院とは限らない。高い手術技術をもつ医師に仕事を!
私たちは、救急を引き受けています。クリニックなのに?とおもうかもしれませんが、泌尿器科の中でも膀胱がんは、膀胱内出血の多い病気です。大変危険で、膀胱内出血は、緊急手術ができればできるほど、たるかる見込みが高いです。治療がおくれるほど、輸血が必要で、そして沢山のストレスを患者にあたえ、重症の患者に変身させ、医療財源を大量に使います。
忘れられていることですが、開業医師は、もとは専門医であることがおおいです。専門領域の手術をさせれば、大変上手であった技術をそのまま眠らせてしまうのは、大変おしいことです。開業医が緊急手術をして膀胱がんの止血ができれば、その次の二次手術のみ勤務医が担当すればいいので、ゆとりがうまれるのです。



■高齢者の教育は、開業医のつとめ
私たちは、患者教育を大変重要に考えます。それは、もっとも医療資源をおさえる方法は、病気になれないことなのです。それには、専門看護師や医師による教育時間が重要になります。教育時間こそが、国が定めた『特定疾患管理料』なのです。多くの先輩医師たちの中に、『特定疾患管理料をとっている』という言い方をする人がおおくて、実際、なにも説明もなしに管理料が請求書の中にあり、患者もわからずに支払をしています。これは、なしだとおもいます。管理料をいただくのであれば、それは、教育時間にあてるべきです。たとえば、私たちのクリニックでは、『排泄ケア外来』をしています。これは、『自己導尿管理料』にあたります。これはとても重要なもので、導尿を的確にしていれば、神経因性膀胱の患者が、重症の腎盂腎炎の患者にならずにすみます。神経因性膀胱の患者さんは、月に4回指導しても1回指導しても、指導料は月あたりおなじです。すると、仮に月に1回指導して、薬の処方などもしたとします。合計が26260円前後になりますので、1割負担で2626円です。1年間通院すると、24000円前後です。もし、1年間、指導をうけずに、重症の腎盂腎炎になると、2週間の入院と抗菌剤の投与点滴が必要ですから、その腎盂腎炎で、250000円から350000円ほどの医療財源を使います。自己負担は、25000円から35000円です。しかも、つらい思いをすることになります。腎盂腎炎は、おこすようになると、1回ではすみません。年に2回も3回も入院することになります。その段階になると、全身の状態がわるくなり、高齢者なら寝たきりになります。仮に、年3回のトラブルがあれば、合計100万円の医療資源を必要とします。自己負担は10万円です。しかもつらい思いを何度もすることになります。医療の財源から考えても、患者教育に時間を費やすことがいかに大切かわかります。



■地域連携をはかるのが、開業医のつとめ
私たちは、地域連携を重視します。そして、自分の専門分野の往診をします。これは、開業医とは本来総合診療医が大変活躍できる場所でありながら、在宅で困るときは、それは専門分野だからです。それは、おもに、排泄ケアを代表とするマイナー領域といわれる部分です。この部分を丁寧に往診することが、患者の状態を底上げし、自宅での介護を可能にします。排泄ケアについては、以前より詳しくのべてきたので、あえて書かずに、ほかの分野で考えます。


ほかの専門分野で重要なのは、がんの疼痛管理です。総合診療医が、すべて癌に精通しているわけではありません。むしろ不得意の先生もかなりおられます。そこで、私たちのクリニックでは、在宅でも可能な麻薬自己管理システムの教育や、在宅での抗がん剤(低用量抗がん剤)をおこないます。このことは、癌の患者さんの生活を向上させることに役立ちます。これらは、病院で入院しておこなう根治目的の抗がん剤とは本質的にちがいます。これは、痛みをとりのぞき、在宅で生活できるようにすることが目的です。

医師の激務をどう緩和するか?



■医師数を増やすために、医師をめざす子供たちを刺激する
私たちは、子供たちの中に、医師になりたいという子がでてきたら、お話をしたり、子供向けセミナーにでれるよう手配をします。すこしでも、多くの優秀な子供が、医師になりたいと願い、そして、子供のころに、やさしい気持ちをおしえていくことです。

(横浜市立大学のキッズ体験セミナーに、当院のこどもたちも参加)
■医師の偏在解消に、都心を離れる開業
私たちは、横須賀市を本拠地にしました。ここは、都心でもありませんし、田舎でもありません。その真ん中にあたる中核都市です。古い町で、高齢者の大変おおい地域です。この地域で診療をしていると、総合診療医はたくさんいますが、専門医はまったくといっていいほどおりません。総合病院ですら少ない環境です。必然として、総合診療医と連携をとる技術が向上します。さらには、こうした地域の開業医師が、交代で公的な高次機能病院におしえにおくようにすると、技術の継続になります。
■女性医師の働きやすさ
患者の立場からいえば、女性医師だからすべてOKということではありません。女性をみるのは、女性でないと、、ではなく、その患者さんに親切な気持でいるかどうかです。人間がもっとも、人に親切にできるのは、その人の心がおちついていて、働きやすいときです。それは、男性と女性がともに働く職場です。医師のあり方として、ある医師から『女性医師だからといって、特別はしない。女性をとるか、医師をとるかだ。』と言われた先輩医師がおりましたが、私たちはそうおもいません。女性としての扱いをうけるのに反対という医師は別ですが、クリニックにおいて女性医師は母親的目線で、男性医師は父親的目線で仕事をします。
■フィジシャン・アシスタントを育成
フィジシャンアシスタントという制度は、まだまだ先の話です。そこで、私たちは、栄養士・介護士・保育士などの他職種を医療の現場で、アシスタントとして活用します。資格の上では、看護助手でありますが、彼女たちは患者の立場を思いやり、手をにぎって気持ちを伝えることができます。そして、それぞれの職業の経験から、医師の判断の上で相談にのることができます。これらは、そのまま医療費として計上はできません。しかし、たとえば、初診料や再診料の費用に、これらの熱意も含まれていると医師が思うことです。診察料や特定疾患管理料は、患者にあって、顔をみて、診察して、話をすれば、もうとれる、、という考え方はよくありません。その患者さんに出来る限りの愛情をそそぐことで、その一つがフィジシャン・アシスタントです。


■医療は『公共財』である視点をいかす
医療の上での役割分担を、私たちはこう考えます。
総合診療医 = 診断担当
専門医   = 治療担当
もちろん、総合診療医が治療をおこなっているのは事実ですが、多くの患者さんが、優秀な総合診療医にもとめるのは、道案内です。これは、日本の医療の昔からのあり方です。
そこで、専門医である私たちが、診断を担当するために高価が検査機器を購入して検査の数をこなすとどうなるか?一人の患者さんが、いろんな病院で同じ月にCT検査をうけることは、さえるべきです。そこで、私たちは、治療に焦点を絞っています。導入する器具も、当院のある三浦半島にはない手術道具などです。このことで、助けられる人をすこしでも手術ですくうのです。医療は、公共でスから、検査したい場合は、公共財歳である市民病院などの検査機器を利用すべきです。
■公平性はレセプトに
レセプトには、検査にいたる記載や、前回の検査日も記入します。こうして、検査をする場合は、検査の必要性をきちんと明確にしていきます。


■最後に
医療には、財源問題があります。日本の医療費は国際的にもすくないのですが、いまからそれ以上に医療費を減らしていくことが大切でしょう。このホームページに書いたように、医療費をおさえるには患者教育につきます。
最初の方でとりあげましたが、神経因性膀胱のある患者に対して、定期的に自己導尿指導をする。それも、排尿日誌をよみながら、解説をして、手とり足とりしていく。そうすると、結局、腎盂腎炎の患者さんをつくらないことになり、年間の医療費がもっとも安くすみます。こうした経済観念が、これからの開業医には必要でしょう。


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